脳のしくみを巧妙に利用する情報産業

昨年11月に刊行されたスウェーデンの精神科医、アンデシュ・ハンセンの著書『スマホ脳』(新潮新書)がベストセラーとなっています。

著者の主張は、これまでの長い歴史のなかで人類が生き残るために獲得してきた脳の性質とスマートフォンに代表される情報機器との相性が悪いということです。

それは、同じように人類の歴史のなかで存在してきた「飢え」に備えてきたカラダの性質が、恵まれた現代社会では肥満や糖尿病を引き起こすことになってしまっていることと同じです。

加えてスマホの場合は、サービスを提供する企業側が、利益のために脳の仕組みを利用しようと日夜、科学的裏づけのある技術開発を競っています。そこでは、利用者の健康は顧慮されていません。

その結果、ひどい場合にはうつ病につながるようなメンタルの不調や睡眠障害、集中力や他人への共感力の低下といった副作用が起こっていると指摘します。


デジタルの影響力から距離をとるヒント

もちろんスマホに起因する不調には個人差があります。
またスティーブ・ジョブズがわが子にiPadを触らせなかったからといって、「スマホ育児はダメ」とギリギリのなか子どもを育てている母親を追い込むことはするべきではありません。
いっぽうで「スマホを使っているのか、スマホに使われているのか」という視点で、みずからの生活を点検することは必要でしょう。
どんなことができるでしょうか。

  • 利用時間を把握する
    現状を把握することが必要です。iPhoneではスクリーンタイム、Androidではデジタルウェルビーイングという機能で、知ることができます。
  • スマホに頼らずに済む機能は使わない
    「スマホ脳」では、腕時計、目覚まし時計が例として挙げられています。寝室にスマホを持ち込まないために、目覚まし時計は有効かもしれません。
  • 寝室にスマホを置かない
    スマホと物理的に距離をとるために、最初に手をつけやすいのが就寝時間でしょう。寝る前の1時間はスクリーンを覗かないことが、良質な睡眠の確保には必要です。
  • 運動をする
    週3回45分、できれば心拍数をあげる強度で。

※参考資料
アンデシュ・ハンセン『スマホ脳』新潮新書