「サブリミナル効果」はインチキだった

知らぬ間に視聴者の行動に影響を及ぼす

「サブリミナル効果」は、テレビやラジオなどに映像や音声を気づかないくらいの速さや音量で繰り返し挿入。視聴者の意識に上らぬように潜在意識(Subliminal)に刷り込むことで、視聴者の行動に無意識の影響を及ぼす効果をいいます。

2000年のアメリカ大統領選挙では、共和党が民主党のゴア副大統領に対するネガティブキャンペーン広告にサブリミナル効果を使用して問題になり、現在サブリミナル効果を使った表現はアメリカ、イギリス、カナダなどで禁止されています。わが国でもかつて某テレビ番組にサブリミナル画像が挿入されていたことが問題となり、NHKや民放が放送基準でサブリミナル的手法の使用を禁止しています。

そんなサブリミナル効果は1957年にアメリカのマーケッティング会社のジェームズ・ヴィカリが、「コーラを飲もう」「ポップコーンを食べよう」と書いたコマを映画館のスクリーンに繰り返し挿入する実験を行ったのが発端でした。その結果、コーラは18.1%、ポップコーンは57.5%の売り上げアップが認められたとされ、サブリミナル効果は一躍世界中に知れ渡ったのです。

多くの科学的検証実験がその効果を否定

ところが、実はこのヴィカリの実験はインチキだったといいます。

その後、同実験にかんする詳細が発表されなかったばかりか、再実験でも効果が証明されなかったりしたために疑いの声が湧き上がり、実験から5年後ついにヴィカリは実験結果はねつ造だったと認めたのです。

サブリミナル効果の存在を決定的に裏付ける論文はこれまでに存在しないのが実情で、多くの科学的検証実験でも、サブリミナル効果を使った映画や番組などの効果は認められませんでした。

さらに、米軍が米学術研究会議にサブリミナル効果で兵士の心を強くできるか調べてもらったところ同会議の報告は否定的でしたし、BBCラジオが行ったサブリミナル広告の検証実験でも効果は完全に否定され、カナダのテレビ局の検証番組でも効果は見られなかったのです。