措置入院中の外国人が身体拘束で死亡

急増する身体拘束に遺族が「人権侵害」訴え

神奈川県の病院に措置入院され、身体拘束中に死亡したニュージーランド人男性の遺族が「死亡は身体拘束が原因で、日本の病院は患者の人権を著しく侵害している」と訴えています

英語教師のケリー・サベジさんはニュージーランド在住の2010年頃から精神疾患を患い服薬治療していましたが、2015年に来日。その後自宅で暴れたりしたことで今年4月30日には大和市の精神科病院に措置入院(強制入院)されました。

病院の診断はうつ病で、負傷の恐れがあるとして閉鎖病棟のベッドに手足を拘束されたのですが、入院から10日後の5月10日には心肺が停止。近隣の市立病院に救急搬送されたものの、1週間後に死亡してしまいました。

市立病院の医師は、長時間体を動かせないことで発症する「エコノミークラス症候群」による肺塞栓の可能性を示唆。エコノミークラス症候群(深部静脈血栓症)は、手足を長時間動かさないことで手足の静脈にできた血栓が血流に乗って肺の血管へ移動、肺の血管を詰まらせる「肺塞栓」を起こして最悪の場合は死亡してしまう病気です。

世界的にも長い日本の平均拘束時間

精神疾患患者の行動の自由を奪う「身体拘束」や隔離は「精神保健福祉法」で限定的に認められていますが、近年とみに増加しています。厚生労働省の2014年の調査では、身体拘束された患者は1万682人、隔離は1万94人に上り、身体拘束は2003年に比べて2.1倍、隔離も1.3倍と急増しているのです。

先進諸国の患者1人あたりの平均拘束時間は、スイスが48.7時間、フィンランドやドイツが9.6時間、アメリカ(カリフォルニア州)が4時間と、数時間~数10時間に限定されているのに対して、日本のそれは平均96日間にも及んでいます。

日本精神科救急学会の「精神科救急医療ガイドライン」では、身体拘束は感情的な苦痛などの心理的な副作用にくわえて、今回のケースのような肺塞栓症、手足の機能低下、床ずれなどの恐れがあるため、しっかりした予防措置や観察、発生時の迅速な対応が必要とされていますが、その実態は不明です。

サベジさんの遺族は患者家族や医療関係者、弁護士などとともに「精神科医療の身体拘束を考える会 」を結成。日本の病院における長時間身体拘束を減らすよう求める署名活動を行っています。