「高所平気症」の子供たちにご注意

高層階から転落する子どもたちが急増

高層マンションのベランダから子供が転落する事故が頻発しています。

昨年4月には、大阪市の超高層マンションで小学1年生の女の子が43階から約140m下へ転落、死亡する悲惨な事故が発生しました。女の子は両親が目を離した隙に子供部屋からベランダに出て、高さ約1メートルの柵を乗り越え転落したとみられています。

東京消防庁の調べでは、都内のマンションなどのベランダや窓から転落して救急搬送された5歳以下の子供の数は平成23~27年の5年間で114人に上ります。

20階建以上の超高層住宅は毎年全国で30棟以上が建設されており、いまや10万戸に迫る勢いです。こうした高層住宅の増加にともない、はるか上空の高層階で育つ子供たちも急増。地面との距離感のない高層階で幼少期から育つことで、高いところがちっとも怖くないという「高所平気症」の子供たちが増加しているのです。

高所育ちで髙さの安全感覚が未発達に

「高所平気症」は精神疾患ではなく、高い場所の危険性に対する判断感覚が未発達な状態をいいます。診断規準もないので、どの子どもがそうなのかの診察もできません。

生まれたばかりの乳児には、高い場所が危険かどうかを判断する安全感覚にかかわる脳神経が発達していません。高さにかかわる安全感覚は、子供が成長過程の遊びなどで台や遊具に上ったり飛び降りたりする中で、自分の目線の高さを基準にして高さを体感。高さに対する安全感覚を養うことで、自然に恐怖感を感じるようになるのです。こうした高さにかかわる安全感覚を司る脳神経は4歳ぐらいで成人レベルの80%程度まで発達すると言われています。

ところが、生まれてからずっと高層マンションで育った子供は、地上からエレベーターに乗って自分の階まで安全に運ばれてしまうため、高層階が怖いと思う安全感覚が未発達だったり、鈍いままです。その結果、はるか下の地上を見下ろしても怖くない「高所平気症」になってしまうのです。

上述したように高さに対する感覚の脳神経は4歳ぐらいまでに作られてしまうので、その後の治療は容易ではありません。そのため、幼いうちになるべく子どもを戸外に出させて公園などに連れて行き、地面が見えてかつ高さのある鉄棒や滑り台、ジャングルジムなどの遊具で遊ばせたり、たまには階段で自分の階まで登らせることで高さに対する安全感覚を養わせる必要があるのです。