大震災前の生活習慣が震災後の精神に影響を

日常生活の改善が災害時のメンタルヘルスを予防

東北大学大学院医工学研究科の門間陽樹助教らのグループは、東日本大震災以前から行っていた健康調査のデータを解析。震災発生前の身体状態や生活習慣が震災発生時の精神的ストレスに影響を与えることを明らかにし、米科学医学誌「PLOS ONE」(2014 年4 月23日電子版)に発表しました。

東日本大震災などの大規模自然災害時には、PTSD(心的外傷後ストレス障害)の発症が問題となりますが、これまで自然災害後のPTSD に関する研究は災害発生後に調査が行われていました。

研究では、仙台市の勤労者を対象に東日本大震災以前から行われてきた研究データのうち、災害発生の影響を受けずかつ修正可能な身体機能や生活習慣に着目。震災発生前の身体機能(脚伸展パワー)、生活習慣(喫煙飲酒習慣、身体活動量、食習慣、睡眠時間、歯磨き習慣)、既往歴(生活習慣病)などを解析。さらに、震災後の同じ年に震災による精神的ストレス指標(IES-R)の評価を行うとともに、震災による家屋や人的被害および仕事量の増減についても調査。震災発生前の身体状態や生活習慣と震災発生時の精神的ストレスレベルに関連が認められるかについての検討を行いました。

日常生活改善で将来の災害時のメンタル悪化を予防

分析の結果、男性では震災発生前の脚伸展パワーが高い人はIES-Rは低く、毎日飲酒していた人や抑うつ傾向であった人はIES-Rが高いという関連が認められました。

かたや女性では、男性同様に震災発生前に抑うつ傾向があった人はIES-Rが高い一方、高血圧であった人もIES-R が高いという関連が認められ、災害発生前の身体状態や生活習慣が災害発生時の精神的ストレスに影響を与えることや、災害前の身体機能や生活習慣の維持・向上が災害時のメンタルヘルス悪化の予防策になる可能性が世界で初めて示されました。

災害発生前に詳細な調査が行われていた研究は世界的にもまれで、研究グループでは、身体機能や生活習慣の改善・維持によって災害による精神的ストレスへの耐性を獲得できる可能性が今回示されたことで、災害発生前にPTSD ハイリスク者を把握することで災害時のメンタルヘルス対策となることを期待するとしています。