こころの健康に、睡眠時間は7時間台がよい

日本大学医学部の兼板佳孝・専任講師(睡眠疫学)研究チームは、睡眠時間が7時間台の人の精神状態が最も健康的で、それより長くても短くてもうつ状態が強くなるとの調査結果を発表した。
調査結果は、厚生労働省の保健福祉動向調査(2000年)に合わせて実施し、全国300地域・20歳以上の男女約2万5000人のデータを解析して得られた結果である。うつと睡眠の関係を調べる調査は少なく、国内外でも最大規模のもの。
この解析では、抑うつ状態や対人関係、身体症状などを点数化し、うつの状態を評価。睡眠の長さや「よく眠れたと思っているか」などとの相関を分析した。
同講師は、04年に厚生労働省の研究班が行なった中学・高校生を対象にした10万人規模の調査を解析して、「睡眠時間が7〜9時間より長いか短い子どもは、精神状態が悪いという傾向のあること」を発表し、このときは「この研究では分からないが、睡眠が短くて精神状態が悪くなるのと、精神状態が悪くて睡眠が短くなるのと、どちらも考えられる」と話していた。

今回の解析では、
・睡眠時間ごとのうつ状態の割合は、
 20〜70代以上のすべての年代で、睡眠「7時間以上8時間未満」の人が、「うつ状態」の点数の低く、とくに5時間未満の人や10時間以上の人では点数が高くなった。
・うつ病は“早朝に目覚める”人に多いか
 今回の解析では、寝付きの悪さのほうが、うつ症状とのかかわりが強いことがわかった。従来、早朝に目覚めてしまうことがうつの特徴的な症状の一つとされてきたが、違う結果となった。

兼板専任講師は「睡眠時間が長くても短くても好ましくない傾向が明らかになり、うつには寝付きなども注意する必要がありそうだ。うつ病治療でのきめ細かい睡眠習慣の指導が重要であることが分かった」と話している。

※現にうつ病患者には睡眠障害が多く、睡眠障害はうつ病に限らず統合失調症など他の精神的障害の先駆けとして表れることが少なくないと言われています。このようにうつ病と睡眠障害には深い関係があることは、昔から知られていることです。こうした睡眠障害は、うつ病の結果というより、双方向の関係にあり、とくに高齢者の場合など“睡眠障害があるかどうか”が将来うつ病になるかの大きな要素にもなっています。
うつ状態ではぐっすり眠られている状態が短く、結果として夜中に目が覚めやすく、以後寝つかれない、夜明け前から目覚めて眠った気がしない、などの症状となるのです。

※21世紀における国民健康づくり運動「健康日本21」のメンタルヘルス“快適な睡眠のための7箇条”では、
(1)定期的な運動をする
(2)8時間にこだわらず快適睡眠時間を心がける
(3)快適な睡眠環境は工夫して創る
(4)寝る前は自然に眠くなるようリラックス
(5)毎日同じ時刻に起床する。休日に遅くまで寝床で過ごさない
(6)昼寝は午後3時までの20〜30分、夕方以降の昼寝は避ける
(7)睡眠障害は、専門家に相談
としています。