メンタルヘルスの法知識

Q&A

Q:労災認定から外れている心身症なら責任はない?

A:非災害性の疾病の業務起因性の労災認定基準は、
1.業務と、死傷病等の発生に相当因果関係が認められること
2.相当因果関係が認められるためには、その業務に、その死傷病等を生じさせる医学上の危険性があること。
となっています。

つまり、上記を満たすような心身症であれば、労災に認定されるわけであって、事業者の安全配慮義務に反したという責任は生じるでしょう。

ただし、非災害性の疾病の中でも、精神疾患は危険性という定義が困難になります。当該従業員の性格や、生活などの環境も含めて、複合的に疾患の原因となるからです。
したがって、単に業務遂行中に精神疾患を発症したとか、または業務が発症のひとつのきっかけとなったとかというだけでは認定には足りません。

たとえば、肉体的、精神的ストレスによる疲労は、神経を疲労されて、心因性の精神疾患を生じさせる危険性ではあるでしょう。しかし一方で、ストレスの発生原因は様々であって、業務外の理由も考えられるわけです。また、精神疾患の原因や、ストレスにどれだけ耐えうるかなどについては、数値化できない上に、まだ研究途上にあります。

ただし、医学上の因果関係はいまだに明確になってはいないものの、法的概念としての因果関係の立証は、ある原因が、ある結果を生み出したと認められる可能性が極めて高いと判断されればよしとするものです。(最高裁判決昭和50年2月24日)
ほとんどの人が、疑義を呈さない程度の因果関係があると考えられればよいということです。

したがって、上記のような蓋然性の高い因果関係が認められれば、精神疾患も労災として認定されるし、事業者の責任も生じると考えるべきでしょう。

全体的には今まで以上に労災認定するものが増えているだけでなく、基準を超える動きが進んでいます。