メンタルヘルスの法知識

Q&A

Q:健康診断の二次診断を本人は必要無いと言っているが。

A:二次健康診断などは、当該労働者が請求した際に行われるもので、事業者側が命じるべきものではありません。
旧労働省が発表した「健康診断結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針」においても、確かに、二次健康診断などは事業者が労働者に対して「受診を推奨するべきである」とするに留まっています。
安全衛生法上の義務としては定めていないのです。

しかしながら、指針も、事業者に対して、労働者の自主的な健康管理を促進するために、再検査や精密検査、治療のための継続的な受診を勧奨することを求めています。
また、裁判例においても、二次健診を受診させるべき環境を整備すべき義務があると理解できます。
たとえば、就業規則に二次健診受診を義務づけるなどの整備です。

就業規則などにおいて二次健診の受診義務規定がない場合でも、受診義務を認める判例が出ています。
たとえば、「京セラ事件」(東京高裁判決昭和61年11月13日)は、

  1. 企業にとって、従業員の疾病が業務に起因するものであるかどうかは、極めて重要な関心事であること
  2. 医師より従業員の疾病は業務に起因するものではないとの説明があったなど場合、企業が従業員に対し、改めて専門医の診断を受けるよう求めることは、労使間における信義則ないし公平の観念に照らし合理的かつ相当な理由のある措置であること。
  3. 就業規則等にその定めがないとしても、指定医の受診を指示することができ、従業員はこれに準ずる義務があること。

を認めています。

その後も、
医師選択の自由の原則を認めるものの、当該従業員が選んだ医療機関の診断結果に疑問を抱くような合理的な理由が認められる場合については、使用者指定の医師による受診義務があり得ることを認めています。

ちなみに、システムコンサルタント事件の高裁判決(平成11年7月28日)では、労働者が毎年会社から健康診断の通知を受けており、自ら高血圧であったことを知っていたうえ、会社から精密検査を受けるよう指示されていたにもかかわらず、医師の治療を受けていなかったことについて、過失相殺を認めています。