メンタルヘルスの法知識

家族のメンタルヘルスと法

ドメスティックバイオレンスと精神障害

DVの被害者は、暴力によって怪我をするなど、身体的に影響を受けるだけではありません。こころにも重大な影響を受けることがあります。
たとえば、PTSD(post-traumatic stress disorder:外傷後ストレス障害)に陥るなど、被害者を長期的に苦しめることがあるのです。

PTSDとは、一般的に、地震や台風などの自然災害や、事故などの人為的災害、あるいは誘拐監禁などの犯罪被害のあとに起こる精神障害です。衝撃的な出来事のあとに起き、配偶者の断続的な暴力ののちに起こることもあります。

症状としては、突然、体験した衝撃的な出来事が思い出され、その時に体験した苦痛・苦悩が現れたり、その出来事に関連する場所やイベントを避けたり、外からのあらゆる刺激(たとえば、大きな物音や、接触行為)に対して過敏に反応したりして、精神的に病んでしまうことがあります。

配偶者からの暴力の恐ろしいところは、関係が濃いために、なかなか逃げることができないという点です。内閣府のホームページでは、逃げられない理由を解説しています。

  1. 恐怖感:被害者は、「逃げたら殺されるかもしれない」という強い恐怖から、家を出る決心がつかないこともあります。
  2. 無力感:被害者は暴力を振るわれ続けることにより、「自分は夫から離れることができない」「助けてくれる人は誰もいない」といった無気力状態に陥ることもあります。
  3. 複雑な心理:「暴力を振るうのは私のことを愛しているからだ」「いつか変わってくれるのではないか」との思いから、被害者であることを自覚することが困難になっていることもあります。
  4. 経済的問題:夫の収入がなければ生活することが困難な場合は、今後の生活を考え逃げることができないこともあります。
  5. 子どもの問題:子どもがいる場合は、子どもの安全や就学の問題などが気にかかり、逃げることに踏み切れないこともあります。
  6. 失うもの:夫から逃げる場合、仕事を辞めなければならなかったり、これまで築いた地域社会での人間関係など失うものが大きいこともあります。

一方、加害者の精神状況は、一定ではないようで、アルコール依存症やギャンブル依存と関連しているタイプや、精神障害が関係している人もいます。家庭内だけで暴力をふるう人がいるかと思えば、誰に対してもきっかけがあれば暴力をふるう人もいます。
一概には言えないというのが現状です。