メンタルヘルスの法知識

精神障害の労災認定の流れ

不況により、経営が厳しくなる中で、労働者が心身共に疲労し、休職するケースが増加しています。特に、心の健康問題によって休業している労働者は増加の一途を辿っています。
心の健康問題は、十分な休養と適切な処置があれば治癒する場合が多いので、職場へ復帰できる労働者も少なくありません。
しかしながら、即座に休業前に就いていた業務を以前と同じように遂行できるわけではありません。段階を踏んで、徐々に回復する必要があります。

厚生労働省が平成16年10月14日に発表した「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」では、心の健康を崩した休業者で、医学的に職場復帰できる程度に回復した労働者を対象にして、事業者が行う職場復帰の支援内容を示しています。
手引きにある職場復帰支援の流れは、5つのステップで構成されています。

第1ステップ

病気休業開始及び休業中のケアの段階であり、「労働者からの診断書(病気休業診断書)の提出」、「管理監督者、事業場内産業保健スタッフ等によるケア」で構成される。

第2ステップ

主治医による職場復帰可能の判断の段階であり、「労働者からの職場復帰の意思表示及び職場復帰可能の診断書の提出」で構成される。

第3ステップ

職場復帰の可否の判断及び職場復帰支援プランの作成の段階であり、「情報の収集と評価」、「職場復帰の可否についての判断」、「職場復帰支援プランの作成」で構成される。

第4ステップ

最終的な職場復帰の決定の段階であり、「労働者の状態の最終確認」、「就業上の措置等に関する意見書の作成」、「事業者による最終的な職場復帰の決定」、「その他」で構成される。

第5ステップ

職場復帰後のフォローアップの段階であり、「症状の再燃・再発、新しい問題の発生等の有無の確認」、「勤務状況及び業務遂行能力の評価」、「職場復帰支援プランの実施状況の確認」、「治療状況の確認」、「職場復帰支援プランの評価と見直し」で構成される。

この5つのステップを実現するためには、職場復帰支援に関する体制の整備が必要です。また、職場内で教育によって事業場職場復帰支援プログラムを周知する必要もあります。
一方、プライバシーの保護に努めながらも、労働者への心理的支援を行う必要があります。

職場復帰関連書式

「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」では、職場復帰支援プログラムを策定するにあたって、関連する文書様式を作成しています。

事業者は、事業場職場復帰支援プログラムに関する規程及び体制の整備を図るにあたって、健康情報などのプライバシーの取扱いに関して、一定のルールを策定するとともに、関連する文書の書式、取り扱い並びに保管方法等について定めておく必要があります。

手引きで提供している書式は、下記の4点です。

1. 職場復帰支援に関する情報提供依頼書

産業医から、休業中のケアを行う開業医に対して、該当する労働者の情報提供を依頼する文書です。内容としては、

(1)発症から初診までの経過
(2)治療経過
(3)現在の状態(業務に影響を与える症状および薬の副作用の可能性なども含めて)
(4)就業上の配慮に関するご意見(症状の再燃・再発防止のために必要な注意事項など)
(5)その他

となっています。

2. 職場復帰支援に関する面談記録票

職場復帰支援の第3ステップ、「職場復帰の可否の判断及び職場復帰支援プランの作成」に際して、主治医や事業者と該当労働者との面談を記録するものです。

3. 職場復帰に関する意見書

第4ステップ「最終的な職場復帰の決定」に関わる書式です。管理監督者・人事労務監督者・産業医などにより、該当労働者の現状と、今後どういった種類の仕事に就かせるべきなのかの見解を記録するものです。

4. 職場復帰及び就業措置に関する情報提供書

3. を踏まえ、産業医の最終的な意見を人事労務担当者へ報告する書式です。
復職に関する意見と就業上の措置の内容からなり、措置の内容としては、時間外勤務・交代勤務・休日勤務・就業時間短縮・出張・作業転換 ・配置転換などの項目があります。