メンタルヘルスの法知識

メンタルヘルス対策は急務? 高騰する過労死/過労自殺の損害賠償額

当然のことですが、事業者には、労働災害を防止する義務があります。また、労働者の健康と安全のために、労働時間を適正に管理しなければならない他、健康診断やその後の措置が義務づけられています。
しかしながら、こうした義務を果たしていれば、労災に対する責任を免れるということではありません。

万が一、過労死や過労自殺、過労による事故、その他労働災害などが発生した際に備えて、事業者はいかなる対策を採るべきでしょうか。

労災に対する補償としては、まず労災保険の保険給付があります。労災保険では、

1. 無料で治療を行う
2. 休業した場合、賃金を補償する
3. 障害が残った場合、年金ないしは一時金を給付する

などの補償が行われます。

その上で、過労死や過労自殺など、労働災害があまりにも大きい場合は、民事訴訟による損害賠償請求が行われるでしょう。労災保険の補償の上乗せの意味もあります。

その損害賠償への対策として、まず、社内の災害補償規定を整備する必要があります。その裏付けとして、損害保険会社の任意保険である労働災害総合保険などに加入すべきでしょう。

ただし、損保会社の労災総合保険では、過労死・過労自殺など、労災認定が微妙な死傷病については、保険金が下りない場合が多いです。
仮に労災認定されたとしても、この総合保険では、過労死・過労自殺が保険対象になってないこともあります。
つまり、損保の労災総合保険だけでは、労災被害者の遺族への補償は足りないと言えるのです。

過労死・過労自殺などの場合、当然ながら、遺族からの被害感情が事業者へ強く向けられるでしょう。その対策として、企業は、別個の過労死・過労自殺を対象とした傷害保険や生命保険などへ加入することが増えています。