メンタルヘルスの法知識

メンタルヘルス対策は急務? 高騰する過労死/過労自殺の損害賠償額

自社の労働者に過重労働を強いることは、事業者にとって、罪となる行為です。その典型的な事例を紹介しましょう。 事業者がサービス残業の実態を改善しなかったために逮捕されたケースです。

東京都羽村市にある特別養護老人ホーム「神明園」では、従業員の約40名が、月平均50時間、多い人に至っては月100時間の残業をしていました。しかしながら、残業賃金は、3、4時間分しか支払われていませんでした。
この実態を把握した労働基準監督署(青梅)は、平成13年に是正勧告を行ったところ、「神明園」経営者側から賃金を支払ったとの報告を受けました。

しかし、その後、内部告発によって、実態は改善されず、賃金も支払われていないことが判明しました。青梅労基署は、さらなる証拠隠滅や、残業代不払いの恐れがあるとして、経営者を逮捕するに至ったのです。
サービス残業をさせた経営者が逮捕されたのは全国で初めてのことでした。

現在の仕事のあり方を考えると、労働時間だけで労働実態を把握することには無理な面もあるでしょう。そのために、サービス残業は仕方がないと現場の労働者ですら思っていることもあります。
しかしながら、積み重なると大変な額になるので、常に改善を目指していくべきでしょう。

たとえば、平成15年7月、消費者金融業者「武富士」では、サービス残業をさせた社員および退職者約5千人に、未払いになっていた残業手当(過去2年分)を合計35億円支払いました。

また、平成17年3月、東京電力では、全社員の75%に相当する2万3100人に、賃金不払い残業(サービス残業)を行わせていました。
未払い賃金の総額は、2年間で約55億700万円。東京電力はその前年にもサービス残業を行わせていたとされ、約14億4100万円を支給していました。
サービス残業合計額は約69億4800万円にのぼり、厚生労働省などによると、1企業のサービス残業額としては最高額となりました。