メンタルヘルスの法知識

メンタルヘルス対策は急務? 高騰する過労死/過労自殺の損害賠償額

労働者が業務のため、あるいは通勤途中に、負傷したり、病気になると労災保険が給付されます。また、不幸にも死亡した場合は、その労働者の遺族に必要な給付を行います。

近年の長引く不況にあって、労働条件は著しく悪化しています。その中で、働き過ぎによる過労死、または過労が原因での自殺が増加しています。

「過労死」という概念は、外国にはなく、たとえば英語では[KAROUSHI]とされます。それほど海外からも注目される日本の社会問題なのです。

過労死や過労自殺の損害賠償は、年々高額化する傾向にあります。

過労による自殺を初めて労災認定した電通事件では、第1審で、「常軌を逸した長時間労働」による過度の疲労と、うつ病・自殺との因果関係を認め、企業に対し、損害賠償1億2600万円の支払いを命じました。第2審は、本人の状態に対する措置を取らなかったとして両親に過失を認め、3割を減額する判決が出ましたが、最高裁にて過失相殺は違法とする、差し戻し判決が下され、その後、和解が成立しました。(東京地裁平成8年3月28日、東京高裁平成9年9月26 日、最高裁平成12年3月24日)

和解内容は、1審判決が命じた賠償額に利息を加え、労災保険給付金の一部を差し引いた額、約1億6,800万円を両親に支払い、謝罪するというものでした。

同じく過労自殺事件として有名な「オタフクソース事件」では、1億1000万円の損害賠償命令が出されました。(広島地裁平成12年5月18日)

このように、過労死や過労自殺では、数千万円から億単位の損害賠償が命じられることが少なくありません。もし、中小企業でこのような訴訟が起これば、会社自体が、傾くこともあるでしょう。