●記憶・認知機能のテスト方法
<改訂版 長谷川式簡易認知症評価スケール(HDS-R)>
我が国では利用例が多く、見当識、記憶など9項目からなり30点満点で評価されます。20点以下が認知症の疑いとなっています。

改訂長谷川式簡易認知症評価スケール(別窓表示)

<ミニ・メンタルステート試験(MMSE)>
世界中で広く利用されている検査です。5~15分程度ででき、見当識(今,いつで・どこにいるか)、記憶(覚える・思い出す)、計算など11項目からなり30点満点で評価します。23点以下で認知症の疑いがありますが、教育歴や気分も影響しますので、あくまでも目安として利用しています。

<アルツハイマー病評価スケール(ADAS)>
認知症の状態をより詳しく知る必要があるときに実施します。
見当識、記憶などを中心に11項目からなる検査で、アルツハイマー型認知症の進行の様子を評価するのに適しています。
検査に40分~1時間30分かかることもあり、すべての患者に適用するものではありません。

<ウェックスラー成人知能検査(WAIS-R)>
知能を言語による知能と、動作による知能にわけ、11項目からなる検査を行います。知能の全体的な様子を少し詳しく評価するのに適しています。
こちらも上記と同じで、検査に40分~1時間30分かかることもあり、すべての患者に適用するものではありません。

<高齢者うつスケール(GDS)>
高齢になってくると気分的な落ち込みによって、認知症と似たような状態になることがあります。そのために気分の検査をしておくことが大切です。
高齢者や認知症があっても答えやすい検査で、30項目の質問からなり、10点以上が少し抑うつ状態、20点以上がかなり抑うつ状態と評価されます。

●認知症の診断基準

▼アルツハイマー型認知症の診断基準(DSM-4)
最も広く用いられる認知症のガイドラインとして、アメリカ精神医学界が作成したDSM-4があり、以下のような診断内容となっています。


 <参考>認知症の程度(別窓表示)

【総合評価】
認知症性疾患の診断に際しては、臨床症状と画像検査、血液検査、生理的検査などを組み合わせた総合的な評価が、もっとも重要になります。さらに今日では骨髄液検査、遺伝子検査の実用化も進んでいます。

●血液検査
血液検査のみでは認知症性疾患を診断することはできません。
認知症と間違われやすい症状に意識障害があり、この疾患が疑われる場合にこの血液検査が有効となります。
この検査は、内科のクリニックなどで行う血液検査と基本的には大差ありません。生活習慣病が、脳血管性認知症などと強い関係があるために、この血液検査を利用して区別して調べています。

●画像診断
画像検査は,認知症の原因疾患を特定するために必須です。
脳の構造的変化をみるCT、MRI(磁気共鳴画像)と、
機能的変化をみるSPECT(脳の血流をみる)、PET(脳の代謝をみる)が主な検査となります。

このようにCTスキャン、MRIから、SPECTやPETのように脳のはたらき具合がわかるものまであります。CTスキャンは今日一般的となりましたが、認知症だと思ったが、実は脳に腫瘍があったとか、血腫(血のかたまり)の影響だったとかを区別するためや、 脳が縮んでいるのかどうかなどを見るために行われています。

MRIは、CTより微細な病変の検出に優れていて、血の流れが悪くなっている状況がよくわかるので、意識を失って倒れたときなど、たとえ軽くても、脳梗塞の可能性があるときなどに多用されています。

アルツハイマー病では,脳全体の萎縮のほかに側頭葉内側面の萎縮をチェックします。脳血管性認知症では,出血や梗塞巣が複数か所あり、あわせて大脳白質病変が多くの場合みられます。
一方、SPECT、PETは脳神経の活動状態を画像化することができ、PETはSPECTより解像度が高く、情報量も多く有用ですが、検査が可能な施設は限られます。

SPECTを用いた脳血流は、アルツハイマー型認知症では脳全体の血流低下があり、なかでも側頭・頭頂部の低下が著明です。脳血管性認知症では多発性あるいはびまん性の血流低下がみられるのが典型的です。

PETを用いたアルツハイマー型認知症の検査では側頭頭頂葉を中心とした代謝の低下があり、脳血管性認知症では多発性の低下が多くの場合みられます。
しかし、このような例は比較的典型的な場合で、上記のような特徴的な変化がみられないことも多いので、症状と画像検査を組み合わせて、より正確に診断することが重要となります。

●生理的検査
代表的なものは脳波検査です。これは、脳から発生しているわずかな電流を増幅して、紙面に波として書くもので、その波の間隔や大きさでいろいろなことがわかります。
認知症の診断としては、通常会話で異常がわからないほどのアルツハイマー型認知症であっても、波がゆっくりするなどの情報が得られるため、診断が微妙なときなどに使われます。また、認知症は種類がいろいろありますので、その区別のためにも用いられることもあります。