身体療法は身体面から精神疾患の治療を試みる治療法のことをいいます。
精神疾患の治療法のうち、心理的な側面からの治療を試みるものを精神療法と呼んでいますが、これに対して身体面からの治療を試みる療法は身体療法と呼ばれています。

身体療法の多くは電気や磁気、光といった物理的刺激を外部から身体に与えることによって精神症状の軽減を計るもので、その代表的なものとして電気けいれん療法、光療法、神経刺激療法、頭蓋磁気刺激療法などを挙げることができます。

こうした身体療法のうちETCとも呼ばれる電気けいれん療法は、電気的刺激を患者の頭部に与えることによって精神症状の軽減を計ります。また、高照度光療法とも呼ばれる光療法は、強い照度の光を患者の全身に当てることによって季節性のうつ病などの治療に効果を発揮し、一方迷走神経刺激療法とも呼ばれてる神経刺激療法は胸部に埋め込んだ刺激装置によって迷走神経を電気的に刺激することで、精神症状の軽減を計るものです。さらに経頭蓋磁気刺激療法とも呼ばれる頭蓋磁気刺激療法では、患者の頭部上に置いた磁気発生装置によって脳を磁気的に刺激することで、上述した電気けいれん療法と同様の効果を簡単かつ安全に得ることができます。


身体療法の具体的方法のうちの電気けいれん療法のそれとしては、患者に全身麻酔を施して、筋弛緩剤を注入した後、頭の外側から頭部に電気的刺激を与えます。電気けいれん療法といえば、かつては恐ろしいイメージで見られていた時期もありましたが、現在では筋弛緩剤を使用しているため、身体のけいれんは起こらず、目的である脳波上のけいれん発作のみを起こすことで安全に治療を行うことができ、安全性も飛躍的に向上しています。治療に要する時間も30分程度で、回数も10回前後で終了することができます。

光療法の方法としては、人工の光源による高照度の光を一定時間患者に照射しますが、その間患者は音楽を聴いたり、本を読んだり、食事をしていてもかまいません。照射される光の強さは1万ルクス以下が適当で、照射時間としては毎日2時間以上、1週間以上にわたって行われ、自宅での照射も可能です。とくに覚醒スケジュール障害の患者の場合には、少しずつ照射時間を早めていく方法が効果的でしょう。

神経刺激療法では、胸に埋め込まれた刺激装置から電線を頚部に通して、迷走神経を電気的に刺激します。安全性にも考慮が払われ、電流の強さを調整したり、途中で止めることも可能となっています。

頭蓋磁気刺激療法の方法としては、患者の頭部上に置いた磁気コイルなどの磁気発生装置によって脳の一部を磁気的に刺激します。とくにこの頭蓋磁気刺激療法は電気けいれん療法のような全身麻酔や筋弛緩剤などを必要としないので、簡単かつ安全な治療法ということで近年注目を浴びていますが、いまの段階では研究途上にあると言った方が適当でしょう。
また、いずれの身体療法においても、実施前には患者に対する十分な検査が必要となっています。


身体療法は高齢者や妊婦などの薬物治療が難しい患者のケースで用いられることが多く、このうち電気けいれん療法の効果としては、身体のけいれんなしに脳波上のけいれん発作のみを起こすことで安全な治療を行うことができ、うつ病や躁うつ病、統合失調症などの治療に効果を挙げています。また、早期に症状の改善が可能なのも電気けいれん療法の長所のひとつで、緊張や錯乱などの急性の症状にとくに効果を発揮します。

光療法の効果としては、強い照度の光を患者の全身に当てることで、日照時間を原因とした季節性のうつ病や覚醒スケジュール障害などの治療に効果を発揮します。
さらに、神経刺激療法では、迷走神経に磁気的刺激を与えることで、うつ病に加えて、薬剤治療の難しい難治性てんかん患者の発作の予防に有効となっています。

最後に頭蓋磁気刺激療法の効果としては、患者の頭部上に置いた磁気発生装置によって脳の一部を磁気的に刺激するだけで済むので、電気けいれん療法のような全身麻酔や筋弛緩剤などを必要せず、簡単かつ安全な治療が可能となります。とくに外傷後ストレス障害や強迫性障害などの神経症、うつ病、躁うつ病、統合失調症などの治療に効果を挙げています。