カウンセリングはカウンセラーと呼ばれる専門の治療者が患者との会話などによってその悩みを聞き取り、解決策を見出すことによってこころの病気を治療しようとする精神療法です。

カウンセリングという治療法では、医師あるいは心理療法士などの専門の治療者(カウンセラー)が、言語あるいは非言語的手段によって患者の悩みを聞き出し、その悩みに共感してあげるように努めます。さらにカウンセラーはアドバイスなどを与えて患者がその悩みを解決する援助を行うことにより、患者のこころの病気の治療を計っていきます。

とくにこうしたカウンセリングで近年重要とされているのは、治療はクライアント(患者)中心であるべきだということです。アメリカの心理学者カール・ロジャースはそれまでの精神分析療法に対し、治療者が独善的に患者を分析しており、行動療法も人間をものとして扱っていると批判しました。そうした治療者の治療には限界があり、精神疾患の真の治療はクライアントの自己治癒力と成長力に任せるべきだという「クライアント中心療法」を提唱しました。

近年のカウンセリングではこうした考え方から、カウンセラーができるのは患者が悩みを解決する援助を行うことだけで、カウンセラー自身が患者の悩みを解決してあげることはできないという立場をとっています。ここではカウンセラーは救世主でも指導者でもなく、患者とともに解決への道筋を探っていくいわば水先案内人的な役割に過ぎないのです。したがって、カウンセラーは患者を理解して、共感し、励まし、悩みを解決する方法を発見するヒントを与えてやることまではできますが、解決法を発見し、それを実行するのはあくまでも患者自身というのがカウンセリングという治療法の原則となっています。


カウンセリングの具体的な方法としては、カウンセラーは患者個人あるいは親や配偶者とともに、または集団でカウンセリングと呼ばれる面談を行います。面接時間は40~50分程度、週に1度くらいが適当でしょう。

実際の面談にあたっては、カウンセラーはまず患者の悩みを聞き出すことから始めますが、ここで重要なのはカウンセラーが患者の悩みに共感してあげなければならないということです。その理由は患者は相手が自分の悩みに純粋に共感してくれている場合においてのみ本当の思いを話すからで、カウンセラーには患者の悩みを理解し、患者の悩みを受け容れて純粋に共感するという態度が要求されます。そのためにはカウンセラーは患者の言葉に頷くだけでなく、相手の悩みの内容を頻繁に伝え返すことによって、相手の悩みを理解し、共感していることを示すことが必要です。そして、こうしたフィードバックによって患者自身も自分の曖昧だった考えをまとめることができるのです。

そして、問題解決のためのさまざまなヒントを与えることで、患者が自分で自分のこころの抱える問題の解決法を発見できるように援助します。そして、問題の解決法が見つかれば、その解決法を実行するように患者を励ましてやります。

また、こうしたカウンセリングで重要なのは、「フォーカシング」(焦点づけ)と呼ばれる技法で、この技法ではこころの問題について患者が漠然と持っている感覚に焦点を合わせ、それをはっきりさせることによって、患者が問題に対するきっちりした対応をとることを可能とします。
そして、こうしたクライアント中心のカウンセリングにより、患者は初期の模索段階から、中期の問題との直面段階を経て、最後には本当の自分になりたいという自己肯定段階へと自分自身の力で到達することができるのです。


カウンセリングという治療法の効果としては、患者は自分の悩みを理解し、自分の悩みを受け容れ、自分の悩みに純粋に共感してくれるカウンセラーという存在を前にして、自分の本当の思いを素直に話すことができます。カウンセラーとの会話の中で自分の本当のこころに気づいて、それが抱える問題を客観的に発見することが可能となります。さらに、患者はカウンセラーの与えてくれるさまざまなヒントから自分のこころの抱える問題の解決法を発見し、かつカウンセラーの励ましによってその解決法を実行する勇気を持つこともできます。

こうしたカウンセリングで重要なのは、前述したようにカウンセラーが患者を理解して、共感し、励まし、悩みを解決する方法を発見するヒントを与えるという立場に止まることで、患者自身が自分自身で解決法を発見し、実行しなければならないということです。これは患者が苦しみながらも彼ら自身の持っている治癒力で問題の解決法を発見し、かつ実行することで、本当の意味でのこころの病の治療が可能となるからです。

このような効果により、カウンセリングはとくに社会恐怖症、外傷後ストレス障害、強迫性障害、恐慌性障害などといった神経症やうつ病の治療に効果を発揮しています。