集団精神療法はその名の通り集団を対象とした精神療法です。
集団精神療法という治療法では、複数の患者たちが集まってそれぞれの持っているこころの問題を話し合うとともに、他の患者の抱える問題点にも耳を傾けて、それに対する自分の感想を話します。

こうした集団精神療法が別の項でも述べる心理劇療法の形をとることもあり、そこでは治療者が監督となって患者たちに脚本のない即興劇を演じさせる中で、それぞれのこころの抱える問題を劇を演じる中で表現させていきます。

集団精神療法では、患者たちが集団の中で自分の抱えるこころの問題を語り合うことで、自分の思ったことが他の人にどんな反応を与えているのかを知ることができます。そして、そうした他の人たちの反応から自分のこころの問題を客観的に認識し、自分のこころに存在する問題を発見するようになります。
また、この集団精神療法という治療法で重要なのは、患者たちが集団での会話を通じて発見したそれぞれの問題に対し、同時にその改善法をその場を借りて試みることができるということです。


集団精神療法の方法としては、複数の患者たちが一箇所に集まってそれぞれの個人的体験や、各自の抱えているこころの問題を話し合うとともに、他の人の体験や抱える問題点にも耳を傾けていきます。集まる人の年齢は同じくらいが望ましく、人数としては、少なすぎると会話が緊迫し、多すぎると話すのにプレッシャーがかかってしまうので、6人くらいが適当でしょう。そして、患者たちが互いの顔が見えるように丸くなって座り、治療者が進行役になってリラックスした雰囲気の中で会話を進めていきます。

ただし、ここで気をつけなくてはならないのは、会話の目的はなにかの結論を出すことではなく、その流れの中で患者の本当の気持ちを引き出すことにあるということです。したがって、テーマを無理に決めずに、それぞれの話すままに自由に会話を進めた方が、患者たちのこころが素直に出やすいでしょう。
一方、患者たちはなるべく素直に自分の思ったことを話すようにして、それを聞いた他の患者もそれに対して自分の感じたことを素直に話すようにします。その間、治療者は進行役に徹して、患者たちが積極的に自分の悩みを話せるように会話を導いていきます。

こうして互いに悩みを語り合うことにより、それぞれの患者は自分がなにを感じているのか、自分の話したその感じ方が他の患者にどんな反応を与えているのかを知るとともに、彼らの反応から自分のこころに存在する問題を発見することができます。加えて、そうして発見した問題に対する改善法が見つかった場合には、次回にその場を借りて試みることもできます。


集団精神療法の効果としては、患者は集団の中で自分の問題を語ったり、あるいは他の患者の問題を聞いて、それに対して感じたことを発言する中で、自分の感じ方や反応の仕方を知ることができます。また、自分の会話が他の患者にどんな反応を与えているのかを知ることで、対人関係を引き起こしている自分のこころの問題点を発見することも可能となります。そして、そうした自分のこころの問題点をいかに改善できるかの対策を、こうした集団精神療法の場を借りて、試みることもできます。

また、集団で話し合って同じ悩みを共有することによって、患者が他の人々との一体感を感じることができ、抱いている孤独感を克服することができるのも集団精神療法の効果のひとつでしょう。
こうした効果から、集団精神療法は神経症、うつ病、統合失調症、アルコール依存症などといったこころの病気の治療にさまざまな効果を挙げています。