短期療法はこころの病気の症状が発生しない特定の条件を発見することにより、精神疾患の症状を解決することを計る精神療法です。

短期療法という治療法はブリーフ・セラピーとも呼ばれ、1969年代にアメリカで考案されたもので、そこではこころの病気の原因を取り除くことがかならずしも症状の防止に繋がるとは限らない、それよりどのような方法であれ症状の発生を防止することが治療に繋がるのだという考え方が基本となっています。

こうした短期療法では、症状を引き起こしている原因を取り除いて症状を解消するのではなく、症状が発生しない特定の条件を実行することによって症状の発生を防止することを計っていきます。たとえば登校拒否の児童に学校に行かないで自宅で勉強をしろと命じると、自宅にいるのが嫌になって逆に学校に行きたくなってしまうことがあるのですが、これが症状が発生しない「例外」と呼ばれる条件です。短期療法ではこうした症状が発生しない「例外」的条件を実行することで、いわば逆説的に症状の発生を防ぎます。

とくにこころの病気の症状を引き起こしている原因を取り除くには普通の治療法では長い時間がかかりますが、短期療法では上記のような例外的条件を実行することで、短期間に症状を軽減することができるというメリットを持っています。


短期療法の治療は、まず精神疾患の症状を引き起こさない「例外」的条件を発見することから始まります。こうした「例外」はそれぞれの患者の症状によって変わってきますが、たとえば不眠症の患者が徹夜で仕事をしなければならなかったりすると、逆に眠たくなってしまうのも短期療法の「例外」の一種です。また、過食症の患者にあまり好きでないものを無理に食べるように進めると、食べるのが嫌になってしまうことがありますが、これも「例外」の一種です。こうした「例外」はいわば天邪鬼的な逆説の発想によって発見できることが多く、治療者がこうした「例外」的条件をうまく発見して、それを実行することにより短期に症状の発症を防止することができるのです。


短期療法の効果としては、患者はこころの病気の症状が発生しない例外的条件を実行することによって、症状を引き起こさないことができるとともに、症状というものは状況次第で発生しないのだということを学ぶことができて、その後の症状の発生の防止にも繋がります。

また、短期療法は発見された例外的条件を実行するだけで、短期間に症状を軽減することができるというメリットを持っており、とくに児童や思春期の患者に有効となります。具体的には摂食障害、不登校、反抗挑戦性障害、行為障害などといった児童や思春期の患者に多いこころの病気の治療に効果を発揮するとともに、他のこころの病気の治療においても症状の軽減に役立つことができます。

ただし、ここで気をつけなくてはならないのは親などが素人考えで上記のような例外的条件を思いついて実行した場合には、かえって逆効果となることもあるということです。したがって、短期療法の実施に際してはかならず精神科医などの専門家のアドバイスに従うようにしてください。