芸術療法は芸術を用いてこころの病気を治療する精神療法です。
芸術療法では、絵や音楽などの芸術手段を用いて患者のこころを表現させることにより、精神疾患の治療を行います。別の項でも述べる箱庭療法もその一種に分類されるでしょう。

さて、芸術療法では、患者はさまざまな芸術を鑑賞したり、あるいは自ら造り出すことによって、言葉では言い表せないこころの深い部分を表現することができます。そして、その結果として押し付けられていたり、傷ついたりしていたこころが解放されて、本来のこころを取り戻すことができるようになります。とくに神経症や統合失調症などといったこころの病の患者の中には、言葉でコミュニケーションをとるのが苦手な患者が多く、芸術療法は有効な治療手段となっています。また、不登校や家庭内暴力を起こしている児童などにも芸術療法が同様な効果を挙げています。

また、芸術療法の種類としては、絵画療法、音楽療法、物語療法、詩療法、コラージュ療法、舞踏療法、演劇療法、造形療法、箱庭療法など、多くの種類があり、それぞれの患者のケースに応じて適用されています。


芸術療法のうちの絵画療法の方法としては、患者は与えられた画用紙などに自分の描きたい絵を自由に描きます。しかし、患者がなにを描いてよいか迷うような場合には治療者が課題を与えるケースもあり、風景、家族などといった患者のこころを投影しやすい課題が与えられます。

音楽療法では、患者に音楽を聴かせながら感想やイメージを語らせ、患者のこころの分析を行います。また、患者が自分で歌を歌ったり、楽器を演奏したりすることもあり、ほかの患者とともに歌を歌ったり、演奏をすれば他の人との一体感を持つことができて、孤独感の解消にもつながります。

物語療法では、治療者は患者に童話や昔話などの物語を聞かせたり、自ら物語を作らせたりして、こころを自由に表現させるように努めます。また、コラージュ療法では治療者が患者にコラージュと呼ばれる貼り絵をさせることで、舞踏療法では患者に自由にダンスを踊らせることで、造形療法では陶芸や粘土細工などを用いて造形を行わせることによって、自然に自分のこころを表現させるように計ります。

また、上記以外の芸術療法としては、別の項でも述べる患者に集団で劇を演じさせる心理劇療法や箱庭を作らせる箱庭療法などがあり、患者はこれらの芸術を行うことによって、自分のこころを自由に表現することができます。


芸術療法の効果としては、上記のようなさまざまな芸術を自ら造り出したり、鑑賞したりすることによって、患者は言葉では言い表せないこころの深い部分を表現することができます。その結果、抑圧されていたり、傷ついたりしていた患者のこころが解放され、失われていた本来のこころを取り戻すことが可能となります。また、芸術療法は単調だった患者の日常生活にうるおいや活気を与えるとともに、こころの問題の原因となるストレスの緩和にも役立つことができます。

患者がほかの患者とともに歌を歌ったり、劇を演じたりすることによって、他の人との一体感を持つことができることで、孤独感の解消にも繋がります。
こうした芸術療法は、とくに言葉でコミュニケーションをとるのが難しいうつ病などの患者の治療に有効な治療手段となっています。