臨床動作法は動作を改善することによってこころの問題の改善を行う精神療法です。
人間の身体の動作はこころによって意図され、また実現される一連の活動で、こころの働きと深く関わり合っています。たとえばこころの働きが順調な時には身体の動作もスムーズですが、悩みなどを背負ってこころの働きが鈍い時には身体の動作は鈍くなってしまいます。こうしたことから逆に動作をよい方向に改善することでこころの働きを改善していこうというのが、1960年代に成瀬悟策氏によって考案された臨床動作法という治療法です。
この臨床動作法の適用年齢としては、子供から老人まであらゆる年齢の患者に効果的で、適用症例的にも多くのこころの病気の治療に役立っています。


臨床動作法では、人の動作をよりよい方向に改善することでこころの働きを改善していくことを目指します。具体的には、こころの病気の原因となるストレスは緊張から身体に余計な力が入るために起こるため、緊張しそうになった時には身体の力を抜いてやることによって緊張を防ぎ、ストレスを溜めないように訓練します。

たとえば緊張しやすい人があぐらをかくと、背中や腰の筋肉が緊張しているために上体を折り曲げた弱々しい姿勢になりますが、こうした体の力を抜く訓練としては、まず上体を少しずつ前に折り曲げることです。そうすれば背中や腰の筋肉の緊張を解きほぐすことができ、丸まっていた腰も真っ直ぐになります。そして、その後で少しずつ背筋を伸ばす訓練をしていけば、最後は背筋を真っ直ぐにした健康なあぐら姿勢をとることができるようになります。

こうした訓練は患者に自分がいかに緊張で凝り固まっているかを自覚させるとともに、筋肉を緩めることで緊張を解きほぐす術も会得させてくれます。そして、こうした訓練によって患者は緊張しそうになった時には身体の力を抜くことによって緊張するのを抑えることを覚え、緊張から来るストレスの蓄積を防ぐことができるわけです。


臨床動作法という治療法は、患者の動作を訓練によってよりよい方向に改善することで、こころの働きを改善することができます。たとえば不安を抱いてこころが緊張している時には身体の動作が固くなったり、悩みを背負ってこころの働きが鈍い時には身体の動作も鈍くなったりしますが、臨床動作法ではこうした患者の動作を訓練によって改善することで、こころの働きを改善してやることができるわけです。

こうした臨床動作法の効果としては、身体の動作を柔らかくしてやることによって、こころの緊張がほぐれ、緊張からくるストレスを防ぐことができるとともに、ストレスマネジメントやうつ状態の改善にもおおいに効果を発揮します。
また、臨床動作法が効果を発揮するこころの病気としては、子供の自閉症や多動症、吃音症、成人ではうつ病、心身症などの治療にとくに有効となっています。