遺糞症はしてはいけない場所や状況で排便をしてしまう子供のこころの障害のことをいいます。
幼児においては不適当な場所での排便は当たり前ですが、4歳くらいまでにそのほとんどが自然に治癒してしまいます。しかし、4歳以上になってもこうした行為を繰り返す場合には、遺糞症と呼ばれています。

こうした遺糞症の原因としては、故意に排便する場合と無意識にする場合とがあります。
無意識のものでは慢性の便秘にともなうことが多く、便がいつも腸にたまって満杯になっても気づかないまま排便してしまうものと考えられています。
幼児に便秘が起こる心理的な原因としては、排便時に緊張したり、トイレが暗いなどといった恐れを持った場合は、便が出にくくなってしまい、便秘が引き起こされます。

そして、こうした要因に加えて幼稚園への入園、小学校への入学などの変化によるストレスがきっかけとなって遺糞症が起こることが多くなっています。
一方、意識的なものでは、母親が仕事などでいなくなってしまうことでこころに溜まった不満を排便をすることで間接的に表現していることもあるようです。
こうした遺糞症の発症率は6歳くらいでは約1%程度で、男女別では圧倒的に男児に多くなっています。

遺糞症の症状としては、子供が4歳以上になっても、故意または無意識にしてはいけない場所で排便をしたり、あるいはパンツをはいたまま排便をしたりしてしまいます。

遺糞症が便秘にともなうことも多く、排出された便は固くなって、排便時に肛門を傷つけてしまい、痛みを感じることもしばしばです。
また、逆に下痢にともなう遺糞の便は柔らかくなっています。

遺糞症のほとんどは15歳過ぎになると自然に治癒してしまうので、子供が幼い場合はあまり目くじらを立てる必要はありません。

一方、治療を行う場合には、薬物療法や精神療法などが用いられ、このうち薬物療法としては、夜尿症同様三環系抗うつ剤や抗コリン剤などが子供の症状に合わせて使用されます。
また、便秘が遺糞症の原因となっている場合には、下剤や浣腸を用いて腸に溜まった便を排泄させます。

また、子供の心理的な要因が遺糞症の原因となっている場合には、精神療法が用いられ、自由に遊ばせることにより子供の自発性を高める遊戯療法などが治療に有効となります。
一方、子供の生活習慣の改善も遺糞症の治療には大切で、毎朝食事をしたら排便を行うといった排便習慣を子供につけさせることによって、規則的な排便を促します。

また、家族などの周囲の人間は子供が遺糞したからと言って、かっとなってしかってしまうと、かえって逆効果になってしまいます。むしろ大きくなればいずれは自然に治ると子供を安心させてやることで、子供が余計なプレッシャーを抱かないようにしてあげることが大切でしょう。