特集第5回 燃え尽き症候群

まるで燃え尽きたように無気力に

4月は新しい年度の始まり。新年度こそはと意欲を燃やす方も多いと思います。しかしその一方で、なにかにつけて移り変わりの多いこの季節、浮き立つ周囲とは裏腹に心がふさいで「なぜかやる気が起こらない」と落ち込んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今まで熱心に仕事などに打ち込んでいた人が、突然やる気を失って無気力状態になってしまう症状を「燃え尽き症候群」と言います。
それまで高い理想に燃えて、意欲を持って一つの仕事に没頭していた人が、どんなに努力しても期待どおりの成果が得られないとわかったとき、ふいに目標を見失い、体や心が疲れきって、まるで燃え尽きたかのようにやる気をなくしてしまうことがあります。とくに管理職や専門職などにみられるこの症状は、持続する過度のストレスが原因となるために、うつ病と診断されることもあります。

燃え尽き症候群は「バーンアウト・シンドローム」(burnout syndrome)とも呼ばれる心の病です。この「バーンアウト」(燃え尽き)という言葉を初めて使ったのは米国の精神科医ハーバート・フロイデンバーガーという医師です。1970年代、フロイデンバーガー医師はある保健施設に勤務していた1年余りの間に、精力的に仕事をしていた多くの同僚が突然仕事に対する意欲や関心を失い、まるで燃え尽きたかのように精神的身体的異常を引き起こすのを目のあたりにしました。同医師はこの現象をドラッグ患者たちが陥る似たような状態を意味する「バーンアウト」という言葉をもとに「バーンアウト症候群」と名づけたのです。

対人サービス職に多い「燃え尽き」

燃え尽き症候群にはどんなタイプの人がなりやすいのでしょうか?

燃え尽き症候群という概念が現れた当初は、患者は医療や教育、福祉関係者などの対人サービス職に多く見られるとされてきました。しかし、現在ではその範囲が広がり、他のさまざまな職種にも見られることがわかってきました。

燃え尽き症候群になりやすい職種としては、仕事優先のビジネスマン、オーバートレーニングの一流スポーツ選手、教育の使命に燃える教師、研究一筋の研究者、最先端技術のエンジニア、名門校合格を目指す受験生、子育てが生きがいの主婦などが陥りやすいといわれています。

一方、燃え尽きやすいタイプとしては、仕事熱心、完璧主義、ひたむきなどのタイプを挙げることができます。これらのタイプにはこれまで仕事一筋に順調なエリート街道を歩いてきた人が多く、一度小さなつまずきに出会うと、ふいに気力を失って一気に燃え尽きるケースが目立っています。