特集第5回 燃え尽き症候群

仕事熱心な完璧主義者要注意

燃え尽き症候群の原因としては、さまざまな要素が指摘されています。一般的にはストレスが最大の原因とされますが、そのストレスを生み出して積み重ねさせる環境と、個人の性格という二つの要素が絡み合って引き起こされるものと考えられています。

燃え尽き症候群を引き起こしがちな個人の性格としては、前にも挙げた仕事熱心、完璧主義者、ひたむきなどのタイプを挙げることができます。こうした要素は本来仕事には長所であるべきものですが、いずれも責任感が強すぎる傾向にあり、人間としての本来の自分を無視してストレスを溜め込んでしまいます。

こうしたタイプの人はいったん仕事を始めると、仕事と生活の区別がつかなくなって逃げ場をなくしがちなようです。そして、なにか問題が起こると、自分のせいにしてしまい、自分を非難してストレスを溜め込んでしまうなど、本来長所であるべきタイプが皮肉なことに燃え尽き症候群の原因となっているのです。

たとえば仕事熱心な人は使命感が強く、無理をして熱心に仕事をするものの、期待した成果が得られないと、達成感が得られずに大きなストレスを溜め込んでしまいます。また、完璧主義者は責任感が強く、仕事を完璧にしようとするあまり目標を高くもち過ぎてしまいます。目標を達成できればよいのですが、万一達成できなかった場合は失望して、自分の仕事に満足できません。一方、ひたむきに働く人は義務感が強く、ひたむきに働くあまり自分を犠牲にしてまで周囲の要求に応えようとします。そして、自分を犠牲にして周囲の要求に応え続けるうち、多大なストレスを被って心身ともに疲労してしまうのです。

燃えつきを防ぐのはやはり「年の功」

燃え尽き症候群の個人的要因は性格以外にもあります。

燃え尽き症候群の性格以外の個人的要因としては、「年齢」を挙げることができます。年齢が燃え尽き症候群の発症にどのような影響を及ぼすかについては、単なる年齢自体ではなく、年齢の生み出すいくつかの要素が燃え尽き症候群の発症に影響を及ぼしているものと考えられています。

たとえば年齢を重ねるにつれて経験が積み上げられますが、経験を積んだ人は仕事をするにあたって自分の仕事に対する客観的な見方をすることができます。経験を重ねた人は、仕事に対して現実にそくした理想や期待を持つことがきるわけです。これに対して若くて経験が少ない人は、仕事への理想や期待が高すぎてしまいます。結果、現実とのギャップを感じて、ストレスを溜め込んでしまうのです。

また、年齢を重ねた人はさまざまなトレーニングを積んでいて、さまざまな問題への対処法が分っています。一方、トレーニングを受けていない若年者はなにか問題が起こると、適切な対処法が分らずにストレスに感じたり、自信を失ったりしてしまいます。

年齢を重ねた人は経験を積むことで、ストレスへの上手な対処法も分っています。かたや、若くて経験の少ない人はストレスへの対処法が分らずにストレスを溜め込んでしまいます。

こうしたことから、年齢が高い人ほど燃え尽き症候群になりにくいことがお分かりでしょう。実際にいくつかの研究でも、年齢が高く、勤務年数の長い人ほど、ストレスに対する適切な対処法を知っていて燃え尽き症候群になりにくいという結果が報告されています。