★ピネル P.Pinel(1745〜1826)
フランスの精神医学者で近代精神医学の創始者。「精神病者の開放」の象徴的存在。
公立病院ビセートル、サルペトリエールの医師からパリ大学で衛生学、病理学の教授、ナポレオンの侍医も務めた。
精神病者治療法の刷新を唱え、従来、罪人と同様に扱われていた精神病者を解放して医学的治療を施した。
盲目的の多くの薬を使うことに反対し、患者の衛生、食事、病院内管理、職員の態度、信頼に満ちた温かい雰囲気が大切なことを強調した。
医学は自然科学の一部門であり従前の総合的方法の代わりに解析的方法を採るべきであるとも主張した。
★エスキロール J.E.D.Esquirol(1772〜1840)
19世紀フランスの精神医学者。
ピネルの弟子、師の仕事を継いで完成させた。フランスの精神障害者に関する法律に関与した。
精神病理現象を包括する言葉「monomanie:モノマニ−」(知的・感情的・本能的モノマニ−)で規定した。
★グリージンガー W.Griesinger(1817〜1868)
ドイツの精神医学者
精神病の研究を哲学的思弁から分離して、「精神病は、身体の病である」と考え、自然科学を元とする医学の対象にすることに努めた。
精神疾患過程は、脳疾患に由来するから、その解明は脳病理学の進歩に待つ考え、その後の彼に続く50年間の脳病理学が大きく発展し、精神医学が進歩することとなった。
★クラフトーエービング(1840〜1902)
ドイツ・オーストリアの精神医学者(司法精神医学者)
異常性欲者の精神鑑定の機会が多く、異常性欲の分類と記述に貢献した。
★クレペリンE. Krae-pelin(1856〜1926)
ドイツの精神医学者
ミュンヘン大学教授など歴任、27歳で『精神医学教科書』の初版を刊行、版を重ねるごとに疾患単位の確立、精神病の分類に努めた。
内因性精神病を「早発性痴呆」と「躁鬱病」に大別し、現代の精神医学の臨床的体系の基礎をつくった。
日本の呉秀三がクレペリンから当時の最新学説を導入したことで、呉が日本の精神医学界に支配的な影響をもたらした。
★フロイトS. Freud(1856〜1939)
元はオーストリアの神経学者 精神分析の創始者としてよく知られる。 初期には、今日のニューロン理論の基礎となる着想や失語症の理論、失認の提唱など、神経学者として多大な功績を残した。その後、ヒステリーの研究、催眠暗示の研究、神経症研究(症状と分析)、催眠浄化法などを学ぶ過程で精神分析を創始、フリース体験での自己分析から精神分析を本格的に誕生させた。
1893年「ヒステリー研究」を出し、漸次、無意識、抵抗と抑圧、小児性欲説、エディプス・コンプレックスを主柱とする精神分析学を展開した。
1916年『精神分析入門』、1923年『自我とエス』、1926年『制止、症状、不安』、1932年『続精神分析入門』、1939年『精神分析概説』など、精力的に刊行。
フロイトの門下からはユング、アドラー、ホーニイなどが出た。
フロイトの創始した精神分析は、その後世界各地に広まり、人間フロイトを物語るエピソードも語られている。
★ブロイラー E.Bleuler(1857〜1939)
スイスの精神医学者 ライナウの州立精神病院院長、チューリッヒ大学精神科主任教授。
著書に1911年『早発性痴呆または精神分裂病群』、この中で、クレペリンの称えた早発痴呆は必ずしも青年期に早発するとは限らず、クレペリンの言う鈍化ではなく、精神の分裂であるとして精神分裂病に変名した。
フロイトの精神分析学とクレペリンの精神病分類との間に連絡をつけたユングの概念(人格型を内向型と外向型とに区別する)を発展させ、その一般型の病気にみられる分裂型人格に対し精神分裂症なる名称を与えた。
★ジャネ P.Janet(1859〜1947)
フランスの精神医学者 20世紀前半のフランス精神病理学会、臨床心理学会を支配した。
特に、解離の概念が、現代に再評価される方向にある。
★呉秀三 くれ しゅうぞう(1865〜1932)
日本における精神医学と精神医療の建設者。東京帝国大学医科大教授時代に精神病学講座を担任、門下生は全国の大学や病院の指導者となった。著書『精神病学集要』では、クレペリンを中心とするドイツ精神医学を紹介した。
松沢病院院長を兼任し、精神病院医療の確立の基礎的な貢献を果たし、患者の人道的待遇のための幅広い改善へ努力を傾けた。精神病者監護法を批判し立法と医療行政の改善を主張、これが後の精神病院法制定のきっかけになった。
★フェレンツィ S.Ferenczi(1873〜1933)
ハンガリー、ブタペストの精神分析の先駆者
フロイトに直接、師事した。フロイトの精神分析に革新的な着想を提示し、フェレンツアンと呼ばれる精神分析の流れの源泉となっている。
フェレンツィが新しく提起した能動的技法は、治療時の治療者と患者の関係の分析に人々の目を開かせる契機となり、現代の精神分析に多大な影響を残している。
★ユング C.G.Jung(1875〜1961)
スイスの精神医学者
チューリッヒ大学精神科でブロイラーの指導を受け、フランスでジャネの下で研究活動、帰国後、連想法の実験による研究で有名になった。
精神病者の妄想や幻覚内容を心理的に理解しようとする試みは、精神分裂病に対する心理療法的な取り組みの幕開けともいえるものであった。
無意識の概念を個人的無意識と普遍滝無意識としてとらえ、後に、自己の概念、自己実現の過程などを追求した。その後の研究は、ユング研究所に受け継がれている。
★ヤスパース Jaspers,K.(1883〜1969)
ドイツの精神医学者
1913年『精神病理学総論』刊行、20世紀の精神医学で記述精神医学の方法論の確立に多大なる貢献をした。
厳密な現象観察を重視し、了解心理学の方法論を確立する立場をとった。この立場からやがて、実存哲学者としての道を歩む。
★丸井清泰 まるい きよやす(1886〜1953)
日本の国立大学精神科教授、日本で最初に精神分析学を講義した。
米国のアドルフ・マイヤー教授のもとに留学、帰国後東北帝国大学の精神病学講座を担当し、古沢平作らを指導した。
★シュナイダー K..Schneider(1887〜1967)
ドイツの精神医学者
『臨床精神病理学』では、クレペリンの客観的・自然科学的精神を継承、さらにヤスパースの記述現象・了解心理学の流れをくみ、簡潔で明確な記述精神医学の体系を確立した。
異常性格の類型化を行ない、異常体験反応に位置づけた。米国精神医学会の提唱するDSM−・はこのシュナイダーの記述精神医学を基本としている。日本においてもシュナイダーの影響はとても大きい。
★クレッチマー E.Kretschmer(1888〜1964)
ドイツの精神医学者 チュービンゲン学派を代表し、著書『医学心理学』では、妄想反応が特定の人格と葛藤の状況から出現することを明らかにした。後に、『性格と体格』で、一定の精神疾患には一定の体格が対応していることを明らかにした。
★加藤普佐次郎 かとう ふさじろう(1888〜1968)
日本の精神科医 松沢病院で日本では初めて本格的な作業療法を開放された状態で実施した。
★アレキサンダー F.Alexander(1891〜1965)
アメリカの精神医学者
アメリカでの精神分析を代表する指導者。精神医学と精神分析を統合した最大の貢献者の一人。さらに、心身医学の創始者の一人でもある。
シカゴ精神分析研究所設立、アメリカ精神分析的精神医学発展の中心人物である。
★ソンディ L.Szondi(1893〜1986)
スイスの精神分析家
フロイトの個人的無意識の精神分析とユングの集合的無意識の分析心理学の橋渡しを強く意識し、運命分析学説を提唱した。
★メニンガー K.A.Menninger(1893〜1990)
アメリカの精神科医
メニンガークリニック設立、外来患者を対象に行なっていた精神分析の治療方法を入院患者に応用して、今日、世界の力動的精神医学を代表する病院になった。
1945年、メニンガー精神医学校を設立、当時は唯一の精神科レジデント教育機関であり、ここを卒業した精神科医たちが、世界の力動精神医学会に大きな影響を与え続けている。
★ピオン W.R.Bion(1897〜1979)
英国の精神分析学者(英国クライン派で最も指導的立場にある)
集団の精神力動は、グループ全体の独自の集団行動で、ときに無意識的な原始心性がグループの精神力動を支配するという「集団心理」をあらわした業績。
さらに、フロイト、クラインの理論から、重症境界例や精神分裂病などの精神病理の解明を行ない、独自では「精神病的人格」に対して精神分析的な治療に貢献した。
★古沢平作 こざわ へいさく(1897〜1968)
日本の精神分析学者 日本での臨床的精神分析の基礎をつくった。
ウイーン精神分析研究所に留学、ステルバ、フェダーンから教義を受け、また、フロイトとも出会い、『罪悪感の二種』なる論文を提出、帰国後精神分析医として開業。
日本の精神分析、力動精神医学、心身医学の基礎をつくり、日本精神分析学会を創設、弟子たちの育成にあたった。
★セリエ H.Selye(1907〜1982)
カナダの内分泌学者
セリエのストレス学説が、心理社会的ストレス概念に拡張され、今日の精神医学で大きな役割をもつことになった。
非特異的なストレスによって体に防御反応があらわれ、副腎皮質系ホルモンが活発になるというストレス学説は、汎適応症候群と命名された。
★コフート H.Kohut(1913〜1981)
オーストリア生まれの精神分析医
渡米後、シカゴを拠点に精神分析による治療、研究、教育に従事、米国精神分析学会会長を歴任した。
自己愛障害の精神分析研究を追及し、自己心理学を発展させた。
★カーンバーグ O.F.Kernberg(1928〜 )
アメリカの精神分析医
メニンガー記念病院院長、コロンビア・コーネル大学教授など歴任、国際精神分析学会会長で、現代精神分析の代表的指導者。
精神分析の自我心理学、対象関係論、特に境界パーソナリティ構造にかかわる業績は名高い。
●こころの病気 国際疾病分類(ICD-10分類)
●アメリカ精神医学会 精神疾患の診断・分類基準 DSM-4 |
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